仕事や人生において大きな目標を達成するために必要な力は、何よりもまず、自分自身の行動によって物事を変える事ができるという信念、また自分の将来は自分で決める事ができるという信念です。
そして、その信念を身につけるためには、小さな成功を積み重ね、その達成範囲を広げていく事が重要になります。自分の感情をコントロールできず自身の能力についても無知であっては、目標を達できるという真の自信を持つ事はできません。また自分の運命をコントロールできるという感覚を持つ事もできないでしょう。
ストレスや仕事量が、自分のキャパが追いつかない程の勢いで溜まっていくような時には、そいうった「コントロール感覚」が真先に失われてしまいます。そういった時は、まずは小さな達成しやすい目標に集中し、仕事を達成するために不可欠である「コントロール感覚」を取り戻しましょう。
リソースを注ぐ範囲を狭くし、そのリソースが意図した通りの効果を上げていく事を確認します。そして知識や自信を蓄えながら、その範囲を徐々に拡大して成果を上げていくのです。
仕事や人生において、自分自身が運命の主人であるという感覚、つまり「コントロール感覚」を持つ事が、幸せと成功をもたらす大きな推進力となります。
そしてここで大切な事は、この「コントロール感覚」の生産性、幸福度、健康などへ与えるポジションな影響は、『その人が実際にどれだけコントロールできるか』ではなく、『どのくらいコントロールできると思っているか』という事実です。つまり、「マインドセット」のあり方によって、結果が変わってくるのです。
自分自身の行動が結果に直接作用するという『内部統制感』を高く持てている人ほど、仕事や人生において成功を納めています。一方で日々の出来事が外部の力によって支配されていると考えてしまう『外部統制感』を強く持つ人は、成功や幸福とは遠い場所で人生を送る事になるのです。
『内部統制感』と『外部統制感』
みなさんの思考回路は、『内部統制感』と『外部統制感』のどちらが優位でしょうか。それぞれの代表的な考え方や行動について記しますので、セルフチェックを行なってください。そして『外部統制感』が優位であった場合は、小さな成功を少しずつ重ね、人生の主人公は自分自身であり、運命を選択出来るという事を再認識しましょう。
内部統制感の強い人
- 昇進が叶わなかった場合、自分の不十分な所を探し改善する努力をする
- モチベーションや組織に対する責任感が高い
- コミュニケーション能力が高く、問題解決や目標達成に向け人と協力できる
外部統制感の強い人
- 昇進が叶わなかった場合、会社は能力を見る目がないと考える
- 自己嫌悪に陥り、やる気を失う(学習性無力感)
- 失敗した時の責任を逃れようとするあまり、成功の手柄までも逃す
- 成功しても運が良かったと考え、自分の行動が貢献したという実感を持てない
『本能的行動』と『論理的で理性的な行動』
人生の『コントロール感覚』が、私たちの成功にとってどれほど重要だと分かっていても、時にはそれを失ってしまうこともあります。『内部統制感』の強い人であっても、あまりに多くの時間を要求されたり、能力以上のモノを求められ続けていると『コントロール感覚』を失ってしまうのです。
私たちの行動は、『本能的行動』と『論理的で理性的な行動』といった2つの対立する脳の思考回路によって決定されています。
例えば、自動車に轢かれそうになった時に論理的に思考している暇はありません。小脳扁桃が警告を発し、身体中にアドレナリンとストレスホルモンが満たされ、即座に『逃走』という『本能的行動』が引き起こされます。
一方で、私たちが生きる現代に起こる問題は、逃げるか轢かれるかといった事よりもずっと複雑です。そして複雑な問題に対して『本能的行動』は有害な事が多く、大事な決断をする時に反射的に決めてしまっていればトラブルの連続となるでしょう。そのため、私たちの脳は複雑な問題に対して、『論理的で理性的な行動』を行うのです。主に前頭前皮質を使い、多くの情報を処理しながら結論を 引きだし、将来の計画を立てます。つまり、「考えてから行動する」のです。
感情のハイジャクとは
日々起こる複雑な問題に対しては、『論理的で理性的な行動』で対処すべきですが、大きなストレスを感じていたり、冷静さを失っている時は『本能的行動』に主導権を握られてしまうことがあります。
大きなストレスを感じている中では、些細な躓きが引き金となって『脳のパニックボタン』が押されます。小脳扁桃が反応し、「考えてから行動」する代わりに『本能的行動』が引き起こされます。心理学者はこういった状況を『感情のハイジャック』と呼びます。
『感情のハイジャック』が起こると、絶望感に打ちのめされたり、突然に気力もやる気も失ってしまうことがあります。また理性的に判断する事が難しくなるため、合理的な比較が難しくなり怒りや不快感によって行動が支配されるようになります。
『脳のパニックボタン』が押されることで、私たちは理性を失うのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- トラブルショットになっても論的な選択を忘れない
- 次の一打の運命は自分自身がコントロールしている事を忘れない
人生の『コントロール感覚』を取り戻す方法
1.自己認識を行う
ひどい落ち込みから1番早く回復する人は、自分の気持ちを認識し、それを言葉で表現できる人だと言われています。言語情報が脳に入ると、ネガティブ感情が静まり決断能力が高まります。感じているストレスや無力感を言葉にする事が、『コントロール感覚』を取り戻す最初の一歩になるのです。
2.問題を分解する
手に負えないストレスに対処するためには、問題をバラバラに分解し、自分の力が及ばない事を切り離す必要があります。自分がコントロールできるモノとできないモノに分別するのです。そして、自分有効に影響を及ぼすことのできる部分を見極める、エネルギーを集中されるのです。
3.自分に程よい期待をかける
いま直面している試練が取り分け困難なもので、努力が報われるのが遥か先だという場合には、達成しやすい小さなゴールをいくつか設ける事が大切です。たちどころに可能性の限界を広げるのではなく、程々に難しいゴールを設定し、達成を喜びながら進むのです。小さな問題を見つけて解決する積み重ねが大きな成果につながります。
本を書こうと思うのではなく、1枚1枚のページを書くのだと考えるといい。就任して半年は偉大なマネージャーになろうなどと考えない方がいい。自分に程よい期待をかける事だ(ピーター・ブレグマン ハーバードビジネススクール教授)