ジャーナリストの本質は、単に事実を繰り返す事ではなく、『確信を見抜く』という事です。いつ、誰が、何をしただけでは足りず、それがどういう意味を持ち、なぜ重要なのかを理解しなければなりません。そしてこの力は、人生に役立つスキルの1つになります。
あらゆる事実には本質が隠されています。単に情報を読み取るだけでなく、そこに本質的な意味を見出せるかどうかで、エッセンシャルに生きる事ができるかが決まってきます。
職種としてジャーナリストである必要はありません。自分の人生確信を見抜く力を養うためにも、情報の断片を調べ、それらの関係性を見つける力が必要です。そしてそれらの関係性を発見し、部分の集まりから全体像を作り上げ、新たな意味を付与するのです。
その力が足りなければ、誰かの話を聞いていてもポイントを見失ってしまったり、情報量に圧倒され、何をどうすればいいのか分からなくなってしまいます。次から次へと舞い込む仕事が積み上がり、何から手をつければいいのか分からない状況に陥ってしまうのです。
たくさんのノイズに埋もれ、本当に大事なモノを見失ってしまうのです。
ジャーナリズムの本質とは
「めぐり逢えたら」や「恋人たちの予感」で知られている脚本家のノーラ・エフロンは、ジャーナリストとのキャリアを持ち、その中で磨かれたスキルによって脚本家として大成功しました。物語の本質を掴む力がズバ抜けていたのです。
しかし、彼女にジャーナリズムをもっとも多く教えたのは、ビジネスキャリアではなく、高校時代の授業だったといいます。ジャーナリズム入門の初めての授業で、ジャーナリズムの面白さ、本質に衝撃を受けたのです。
ビバリーヒルズ高校でジャーナリズム入門を教えていたのは、チャーリー ・O ・シムズ という先生だった。最初の授業の内容は、リード ・パラグラフ (導入部)の書き方。記事 の要旨を簡潔にまとめることが大事だ、とシムズは言った。いつ、誰が、何を、なぜ、どうしたのか。最初の数行で、情報の本質を伝えなくてはならない。シムズは生徒たちに話の要約を書くという課題を与え、次のようなストーリーを読み上げた。
「ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員 一同に研修旅行の知らせを告げた。 来週木曜、職員全員でサクラメントヘ行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・ハッチンズ、カリフォルニア州知事のパット ・ブラウンによる講演も予定されている」
生徒たちはタイプライターに向かい、いっせいに要約を書きはじめた。 「マーガレット・ミード、ロバート・M・ハッチンズ、ブラウン州知事は、教育会議に参加し......」 「来週木曜日、高校の職員一同はサクラメントで......」
シムズは生徒たちの要約に目を通してから教卓に置き、どれも駄目だ、と首を振 った。 そしてこう言った。正しい要約は「来週木曜は学校が休みだ」
(「エッセンシャル思考ーグレッグ・マキューン著」より抜粋)
要約に目を向ける訓練をすると、これまで見えてなかったものが見えて来るようになります。点の集まりにしか感じなかったモノが、点同士をつなげる線がある事に気づくのです。単に事実に反応するのではなく、その本質の意味を見抜く事が出来るようになるのです。
些細な事に気を取られ過ぎると大局を見失ってしまいます。仕事や人生においても、優れたジャーナリストと同じように、本質を見抜く目を持たなくてはならないのです。"
"仕事が忙しくなればなるほど、立ち止まってゆっくりと考える時間を確保する事が難しくなります。しかし、生活がノイズに満ちてくればくるほど、静かに集中する時間とスペースが必要になってきます。空白の時間を使って本質的な問題を考える事をしなければ、ただ消耗しきるだけの日々を送り仕事の奴隷になってしまいます。
3年後や5年後、もしくは10年後に自分はどうあるべきか、本質的な問題を考えるのです。そして潜在的な声に耳を傾け、自分の心を充電し、気持ちを切り替える場が必要なのです。
また、どんなに忙しい人でも、考える時間とスペースを確保する事は不可能ではありません。あのビル・ゲイツでさえも、1年に2回ほど仕事から1週間はなれ『考える週』を確保していました。1人きりで大量の本を読み、また最新の技術について学びながら、今後について思いをはせたのです。
一般的なサラリーマンが1週間の有休を取り、『考える時間』を確保する事は難しいかもしれません。しかし、日々の中に小さな『考える時間』を確保することは可能です。
1日に2時間が難しければ、毎朝5分でも構いません。忙しい日常から解き放たれ、自分だけで入られる時間を確保するのです。
古典のススメ
自分の時間を確保する事ができたなら、正統派の古典を少しずつ読む事をオススメします。
禅や儒教、ユダヤ教やキリスト教、ガンジーやアウレリウスなどの思想書を読む事で、私たちの『当たり前』に一石を投じる事ができます。現代とは全く違う時代に書かれながらも、それでいて現代に通じる思想を読む事で、大きなインスピレーションを得る事ができます。または、激動の時代だからこそ、必要な思想であったりする事に気づかされます。
人生の視野を広げ人生の質を高めるためには、自分の時間の確保し、深い学びを得る習慣を作ることが大切なのです。
もしも「忙しすぎて考える時間を作れない」という人がいたら、それは無駄な仕事が多すぎるのです。(フランク・オブライエンー起業家)
本質的なモノを見極めるために必要なこと
- じっくりと考える余裕
- 情報を集める時間
- 遊び心
- 十分な睡眠
- 何を選ぶかという厳密な基準
この5つを『本質的』なモノを『見極める』ツールとして活用します。
それらが1つでも欠けていれば、『本質的』なモノを『見極める』事はできません。そして困った事に、非エッセンシャルの人は、これら5つの重要性を理解していません。取るに足らないモノであり、あればいいという程度の贅沢品、あるいは無能の証明と捉えているのです。
忙しく働き回る事は『無能』の証明
最近では「働き方改革」によって、残業の削減や出張の軽減などが進んできましたが、それでも日本人の中には、忙しく働き回る事、自らを犠牲にして残業する事を美徳とする文化が根強く残っています。
忙しく動き回る事は有能さの証と考えている人は、じっくりと考える時間や上質な睡眠を取る時間を減らし、仕事の時間に充てようとします。
しかしこれは、時間管理や自らのキャパシティを把握していない証拠であり、ビジネスパートナーだけでなく自分の家族や自分自身の人生に取って無責任な行動であると気づかなかければなりません。そして、その状況を作り出している管理者は、管理職として最も大切な資質を欠いていると言わざるを得ません。
立ち止まってじっくり考える事こそが、生産性を向上させる特効薬なのです。立ち止まる時間はタイムロスではなく、目指すべきゴールの最短コースを見つけ出すための時間なのです。
エッセンシャル思考で結果を出している人は、なるべく時間をかけて調査・検討し、多方面からのアドバイスを受け入れながらじっくりと考えます。その時間を作ることによって始めて、本当に大切なモノを『見極める』ことが可能になるのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- 今おかれている状況を理解する
- 遊び心を持って解決方法を検討する
- ゴルフを楽しむ上での「確固たる基準」を作っておく