『言葉』には人の心を変え、仕事の成果や知的能力を向上させる力があります。マインドセットがどれほど成果に影響するかを示した研究では、同時に私たちが周りの人の心にどれほどの影響力があるかを示したものでもありました。
例えば、ホテルの清掃員たちは、清掃という仕事がどれほどカロリーを消化するか示されたグループは、何も伝えられなかったグループより体重を減らす事ができました。アジア人の女性たちは、数学が得意な人種であると伝えるだけでテストの平均点が向上しました。黒人の学生たちは、オバマ大統領が当選した事が自信となり、黒人と白人の学生のテストの結果に差が出なくなりました。
私たちの『言葉』には、そういった大きな力があるのです。ポジティブなキーワードを適切なタイミングで使えば、自分自身だけでなく周りの人にも大きな違いを生み出す事ができるのです。
優れたマネージャーと無能なマネージャーの違い
優れたマネージャーやリーダーは、部下との対話を彼らの能力を引き出す機会と捉え、言葉を選びます。マネージャーが部下たちの能力を信頼している事をオープンに表すことで、部下のモチベーションが改善するだけでなく、本来の力を発揮する事が出来るようになり、成功の確率を高める事を知っているのです。
一方、無能なマネージャーは、仕事を「金を稼ぐ手段」でしかない事を強調します。仕事は単なる「勤め」であって、「天職」ではないと強調してしまうのです。「仕事は金を稼ぐだけの意味しかない」と言うことが、社員のやる気を一気に失わせる1番手っ取り早い方法です。
もちろん、すべての仕事に同じだけの意味があるという訳ではありません。しかし、機械的な決まり切った仕事でさえも、そこに時間と努力を投じるだけの理由を見出す事ができれば、意味のある仕事に変えられます。
一方で、世界で1番素晴らしいしい仕事を得たとしても、そこに意味を見出せなければ、楽しむ事はできません。
ピグマリオン効果を利用してチームのモチベーションを上げる
『ピグマリオン効果』とは、誰かの潜在的可能性を信じる事ができれば、その可能性は命を吹き込まれる現象です。同僚や部下だけでなく、家族や子供に対してもつ期待は言葉に表すかどうかに関わらず、その期待が現実のものとなるのです。
これは「自己達成的予言」の典型的な例でもありますが、人は周りがその人に期待する通りに行動するという事を示しています。チームの能力を決定づけるのは、チームに誰がいるのかではなく、リーダーがそのチームにどうポジティブなマインドセット」を与える事ができるのかで決まるのです。
「理論X」と「理論Y」
マサチューセッツ工科大学のダグラス・マクレガー教授は「マネージャーは、人のモチベーションに関する2つの理論をうちどちらかを指示している」と論じた事で有名です。
「理論X」は、人が動くのは報酬をもらえるからであり、部下は見張っておかなければサボると考えます。「理論Y」は、人は仕事そのモノから得られるモチベーションによって働くと考えます。
ここで重要な事は、それぞれの理論を持つマネージャーの下には、反対の理論をもつ部下は殆ど見当たらないという事です。つまり、部下たちはその上司のものとで働き始める前にどんなモチベーションを持っていたかに関わらず、マネージャーが彼らに期待する通りの部下になっていくという事が研究によって分かっています。
これがまさに『ピグマリオン効果』です。
優れたリーダーになるために
優れたリーダーになるためには『ピグマリオン効果』を有効に使わなければなりません。 言葉に表すかどうかに関わらず、仕事や部下への期待はそのまま結果として現れてくるのです。優れたリーダーであるかどうかを知るために次の3つの質問をしてみるといいでしょう。
- 部下の知性とスキルは固定されたものではなく、努力によって改善できるという事を信じているか?
- 部下がその努力をしたいと思っている事を信じているか?
- 部下が仕事に意味と満足を見出したいと思っていることを信じているか?
それらを信じている事が出来ていれば、それをどうやって日々の言葉や行動によって伝える 事ができるか考えましょう。リーダーが「こうなるだろう」と思う事が、部下を動機付け、結果としてその通りになるのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- ポジティブな言葉を使う
- 自分の潜在能力を信じる
- 自分自身にとっても優れたリーダーシップを発揮する