体幹を十分に使い、大きなエネルギーと安定性を手に入れるためには、正しい「肩の回し方」を習得する必要があります。
多くのゴルファーは「肩を回す」事が目的になっており、その動きによって体幹と腕を分離し、エネルギーを失うスイングに陥りがちです。
今回は正しい「肩の回し方」について解説していきます。
「肩を回す」という悪魔の囁き
「肩を回す」という言葉の通り、左肩をあごの下に押し込み、右肩を頭の後ろに持ち上げると十分「肩が回って」はいますが、これはゴルフスイングでは何の役にも立たない動きです。
この方法で肩を回すと、身体がしっかり捻じれ、物凄いエネルギーを蓄積したように感じます。
しかしこの動きは、腕と体幹を「切断」する動きで、運動連鎖を損なうスイングエラーです。
このように「肩を回す」と、バックスイング以降は「腕力」に頼ったスイングになります。
せっかくの地面反力、体幹のエネルギーを使えず、一貫性のない非効率なスイングになってしまうので注意しましょう。
直線的な「背骨」は存在しない
「肩を回す」というアドバイスのほかには、「背骨に沿って垂直に肩を回す」というアドバイスも有害です。
真っ直ぐの姿勢であったとしても、「脊椎」が直線に並ぶ事はありません。
人間の脊柱(脊柱)は5つのセグメントで構成されています。
- 頸椎:首から頭蓋骨の付け根
- 胸椎:肩と胸の領域
- 腰椎:腰部
- 仙骨と尾骨:腰の下から尾骶骨
各椎骨はそれぞれに異なる能力と機能があります。
最も重要なのは、脊椎の各セグメントが特定の範囲の動きに合わせて設計されていることです。
脊椎には4つのカーブがあり、安定した効率的で強力なターンに必要な可動性を提供するには、これらのカーブを理解しスイングする必要があります。
脊椎のカーブはゴルフスイング中に捻じれ角度が変わります。
そのため、背中に直線を引き、そこに垂直になるよう腕を上げていく事は、生体力学的にはナンセンスです。
「背骨に沿って垂直に肩を回す」という概念を使用するのであれば、最低でも脊椎のカーブに合わせた線を引き指導しなければなりません。
正しい「肩の回し方」
便宜上「肩の回し方」と書きましたが、「肩を回す」意識は不要です。
実際に行う必要があるのは、胸全体を回転させ、上半身全体を90度回転させる事です。
もう少し詳しくいうと、「胸骨」をターゲットとは反対方向に向ける事です。
この動きによって「Xファクター」が生まれ、体幹の大きく強力な筋肉のエネルギーを使うことができます。
「胸骨」をターゲットとは反対方向へ向けるとめには、左右の肩(肩甲骨)の独立した動きが必要です。
特に右側の肩甲骨の収縮(右側の肩甲骨の引き)がポイントです。
正しい「肩の回し方」の感覚を掴むドリル
- 背筋を伸ばし椅子に座る
- 腕を胸の上でクロスし、左右の肩先を触る。
- 腰を回さず右45度回転する
- 腰を回し右肩甲骨を引くように右90度回転する
- この時肩が上がらないように注意する
まずはこの動きを練習してみましょう。
想像以上に右肩甲骨の動きが不足していたことに気が付くと思います。
このドリルがスムーズにできたら、実際のスタンスを取りながらスムーズに右90度回転できるように練習してみましょう。
肩の回し方ポイント
- 胸椎を進展し飛球線後方へ向ける
- 右肩甲骨を引くことで回転角度を増やす
- 垂直な背骨は存在しない