ゴルフクラブはその特性から、一度動き出すと軌道を変更するためには大きな力を必要とします。
特にこの「力」は腕力によるものですが、インパクトの直前まで不用意に「腕力」を入力することは、エネルギーの流れを分断し、地面反力や体幹からのエネルギーを失うことを意味します。
「アドレス」や「テイクバック」についてあまり意識をしない人もいますが、ここにエラーがあると、スイング中は常に無駄なエネルギーを使い、スイング中に発生するエネルギーが細切れになります。
正しく「始動」できていなければ、トップオブスイングからスタートしたスイングと同じレベルの飛距離と方向性しか手に入れることはできません。
セットアップについては、別記事で詳しく説明していますので、今回は「テイクバック」について解説していきます。
飛距離を出す「テイクバック」に大切なこと
「始動」で大切なポイントは3つです。
- 「外力」(地面反力・重力)のエネルギーを受け取る
- 体幹のエネルギーを注入する
- 正しい軌道にクラブを動かす
腕力に頼らず、効率的なスイングをするためにも、「テイクバック」はとても大切です。
「テイクバック」のタイミングで受け取らなかった「外力」は、もう一度手に入れることはできません。
また、このタイミングで体幹を使えていなければ、大きな筋力からエネルギーを注入するタイミングを逸します。
そして、ゴルフクラブの特性から、間違った方向にクラブを上げてしまうと、軌道修正にエネルギーを使うことになり、効率的にエネルギーを蓄積することができません。
理想的な始動と軌道
やはりここでもお手本となるのは、タイガーウッズのスイングです。
クラブヘッドの位置、右腕の位置、左手の軌道に注目して見てみましょう。
タイガーウッズの始動🤔✨
さすが神😆👍 pic.twitter.com/ACKJJgBB3y— Yanagi (@Out_Drive300) April 26, 2020
ゴルフスイングの「始動」では、トップオブスイングで正しい運動連鎖を行うためにも、できるだけ単純な円運動でクラブヘッドを移動する必要があります。
そしてこのルートは、生体力学に基づき、最も効率的なポジションを通過する必要があります。
理想的な始動と軌道のチェック方法
それぞれの体格に合わせ、理想的な始動と軌道を確認してみましょう。
- 耳の中央から横に水平線を引く(赤線)
- 足首の中心から垂直線を引く(赤線)
- アドレスのクラブフェースの中心から、上記の2本線が交差する点まで対角線を引く(緑線)
水平線は、おおよそ右肩がバックスイングの上部になる位置です。
垂直線は、スイングのバランスの中心を表しています。
対角線は、クラブヘッドが進むべきルートを表します。
このルートが最もシンプルで効率的なスイングを実現するスタートラインです。
スイングのお手本はタイガーウッズ
- アドレスでは、右肘は赤線の下に収まる
- 左腕が水平の9時の位置に達すると、手がクラブパスラインに持ち上がる
- クラブシャフトがそれに沿って、ターゲットラインを直接指すか、そのすぐ内側を指す
- ゴルフクラブシャフトが水平の時、クラブヘッドは手の外側にある
これが、非常にシンプルで効率的なボディの動き、非常にシンプルなクラブヘッドパスです。
テイクバックで得たエネルギーを一切無駄にすることなくトップオブスイングに繋げていく理想的なスイングです。
「テイクバック」で気を付けるポイント
「スイングプレーン」を強く意識しすぎると、ゴルフクラブの動きにこだわりすぎて、手でクラブを上げてしまいがちです。
しかし、気を付けなければいけない事は、クラブヘッドはスイングプレーンに沿って移動しますが、クラブシャフトは単純にスイングプレーンを沿って移動しないという点です。
ゴルフクラブを人間の体が扱う以上、シャフトをスイングプレーンに沿わせる努力は不要です。
テイクバックを始めると、ゴルフクラブの重量には勢いがあり、また「テコ」の原理が働きます。
そのため、少しでも間違った方向に動き始めたら、ゴルフスイングの後半で正しい軌道に戻すことには多くのエネルギーが必要になります。
またそのような操作は、エネルギー転送が中断されるため、スイングのタイミングを難しくします。
そして、軌道修正によりクラブヘッドに間違った方向へのエネルギーを与え、ゴルフスイングを非常に複雑にし、一貫性を失います。
「テイクバック」では、地面反力をきっかけに体幹を意識してテイクバックを開始する事で、シャフトではなくヘッドの位置を整えていきましょう。
正しい「始動」ポイント
- シャフトはスイングプレーンを移動しない
- ヘッドがスイングプレーンを移動する
- 胸を回すことでヘッドを動かす