「心はそれ独自の場所である 。その中で地獄から楽園を作り出すことも 、楽園から地獄を作り出すこともできる 」ジョン・ハミルトン
現実をどう解釈するかによって 、その経験はまったく違うものになります。ポジティブなマインドセットを作る事ができれば、幸福感 、学業 、成績 、生産性 、ユ ーモア 、活力 、レジリエンス (立ち直る力 )など 、すべてにおいて平均を上回る事ができるのです。
ネガティブに注目しすぎる旧来の心理学
心理学研究者の中には 、平均値ばかり見ない人たちも確かにいます。またその場合も、平均値の片側 、つまり平均以下の人だけに注目する傾向があるのです。
もちろん 、正常以下の状態にある人たちは 、最も援助を必要としている人たちであり、うつやアルコ ール中毒や慢性的なストレスに陥っている人々を 、そこから救い出してやらなければなりません。
そのため心理学者たちは 、こういう人たちを正常な状態に戻す方法の研究に 、多大な努力を注いできたのであり 、その仕事に価値があることは疑問の余地がありません。
しかし厳しい言い方をすれば、うつから抜け出せても 、その人が幸せになるとは限らないのです。
不安がなくなれば 、すぐに幸福感に満ちた生活が始まる訳ではありません。また働ける状態まで回復しても 、仕事が前よりよく出来る訳ではなく、同様のレベルに戻るのがやっとでしょう。
悪い点をなくすことだけに注目しても、「幸福」を手に入れられるとは限らないのです。
心理学研究の偏り
ネガティブ心理学の研究とポジティブ心理学の研究の割合は 、17対1程度だと言われています。幸せや繁栄に関する研究が1件行われる間に 、うつや精神疾患の研究が17件も行われているのです。
そのため私たちは気分が落ち込んだり、鬱になる「原因」については、よく知っています。あなたの住む街にも同様の心療内科をたくさん見つける事ができるでしょう。
しかし、どうやったら「幸せ」になるか?という点については、ほとんど無知な状態です。
まやかしの宗教やその場しのぎのポジティブシンキングではなく、科学的に「幸せ」を研究したデータに触れる機会がほとんどないのです。
どうすれば「悪い」状態になるのか?ではなくどうすれば「良い」状態になるのか?
私たちは人生で経験する「ネガティブ」な部分ではなく、どうすれば「幸せ」になるのかを同じように学ぶ必要があります。
そして、1998年当時アメリカ心理学会の会長だったマ ーティン ・セリグマン博士が 、いまこそ心理学研究の手法を転換し 、人間心理のポジティブ面にもっと注目すべきときだと宣言したのです。
「どうすると悪い状態になるか 」ではなく 、 「どうすればうまくいくか 」を研究する必要があるということだ 。この瞬間に 「ポジティブ心理学 」という新しい分野が誕生したのです。
ポジティブ心理学に学ぶマインドセットの重要性
旧来の心理学は 、何が人々を不幸にするのか 、それをどうしたら 「正常 」に戻せるのかという点だけに注目されていましたが、ポジティブ心理学はそこから抜け出し 、何が人々を繁栄させ 、成功させるのかという点を 、従来と同じ科学的厳密さで追求する学問です。
人間の行動を理解しようとするとき 、これまでの典型的なアプロ ーチは 、 「平均的な行動 」や 「平均的な結果 」を探るものでした。
心理学においても同様で、統計データのパタ ーンに合わないという理由で意識的に 「異常値 」を無視してきました。そのため、平均より遙かに優れている、劣っているデータは排除されているのです。タルベンシャハーは、この「平均の誤り」を指摘し、心理学が犯した第1の誤りであると語っています。
重力を研究し続けても飛べるようにならないのと同様、ネガティブ心理学を研究しても幸せや成功を手にできる訳ではないのです。より実りある人生を送るためには、自分の能力をどう活かすか考えなければなりません。
そして、能力を十分に発揮するためには「ポジティブ」な精神状態であることが重要なのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- 能力を発揮するにはポジティブな精神状態が必要不可欠