私たちは幼い頃から、『努力は大切だ』と教えられて育てられています。確かにまじめに働けば成果は上がり、困難にも対応できるようになります。
しかし、そこには限界があり、必ず『幸せ』を手にできるとは限りません。『成功』の周りに『幸せ』があるのではなく、『幸せ』が中心なのです。
努力は大切であるのは間違いありませんが、努力の量が成功や幸せに比例するとは限らないのです。『努力したら分だけ報われる』というのは幻想に過ぎません。世の中がそこまで単純ではないのです。
実りあるより幸せな人生を送るためには、努力の量を増やすのではなく、『幸福優位』な状態で、『より少なく、しかしより良く』を実践する事が何よりも大切なのです。
万物の大半はほとんど価値がなく、ほとんど成果を生まない。少数のモノだけが非常に役立ち、大きな影響力を持つ(リチャード・コッチー起業家)
『決定的に重要な少数の法則』によって作られた『Made in Japan』
19世紀末に経済学者のヴィルフレド・パレードは『成果の80%は、20%の努力に起因する(パレードの法則)』という説を発表しました。
そして1951年にはジョセフ・M・ジュラン(品質管理の父)が『パレードの法則』を拡張し、『決定的に重要な少数の法則』を唱えました。ジュランは品質管理の研究をするうちに、問題のごく一部を改善することによって、全体の品質が大きく改善されることに気づいたのです。
今では『Made in Japan』といえば『高品質』をイメージする言葉ですが、1950年代頃では、日本製品は「安かろう悪かろう」と言われていました。そこで日本人は、ジュランの法則に則り『とりわけ重要な問題』だけにリソースを集中させ、品質を目覚ましく改善していったのです。
この『高品質』を武器に、日本は経済大国への道を歩む事になります。
『NO』と言えない日本人とよく言われますが、先人たちは『大して重要ではない事』に『NO』を突きつけ、今の日本を築いたのです。
多数の『いいチャンス』は少数の『最高のチャンス』に遠く及ばない
人生にはたくさんの『いいチャンス』が舞い込んできます。しかし、すべての『いいチャンス』に手を出せるほど、私たちは暇ではありません。そして、たくさん『いいチャンス』をモノにした所で、少数の『最高のチャンス』を掴んだ人には遠く及ばないのです。
努力の量が成果に比例するという考えを捨て、本当に重要なことに『YES』というために、その他のいいチャンスには『NO』をいう覚悟が必要なのです。
最後に、『より少なく、しかしより良く』が大切である事を証明している偉人の言葉を少し紹介します。非エッセンシャル思考の人は、大多数のモノが重要だと考える一方、成果を残すエッセンシャル思考の人は、大多数のモノが不要だと考えているのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- スイングを治す際は、もっとも重要なポイントにのみ力を入れる
- スイング中の思考は限りなくシンプルに
世界一の投資家ウォーレン・バフェットの戦略
「バフェットは若い頃、数百の正しい決断をすることは不可能だと悟った。そこで絶対に確実と思われる投資先だけに限定し、そこに大きく賭けることにした。彼の資産の9割は、たった10種類の投資によるものだ。手を出さないという判断が、その富をもたらしたのである」
ネイサン・ミアボルド(元マイクロソフトCTO)の言葉
「トップエンジニアの生産性は、平均的なエンジニアの10倍や100倍どころではない。 1000倍、いや1万倍だ」ある種の努力はその他の努力よりも指数関数的に大きな成果を生むのです。
ジョン・c・マクスウェル(リーダーシップ論の権威)の言葉
「ほとんどあらゆるモノは、徹底的に無価値である」