優秀な人、仕事に情熱があり周りから評価が高い人ほど陥りやすい『成長のパラドックス』があります。
大抵、そのような方は様々な事に興味があり、また同時に複数のタスクをこなす能力があるため、少しずつですが着実に、エネルギーが無数の方向に伸び始め、ものすごい量の努力をしたにも関わらず、なかなか成果が見えてこない闇の中に迷い込みます。
あらゆる事を学び、すべてを自分でやろうとした結果、『本当に大切なもの』と『それほど大切でないもの』、『大切だが今すべきではないもの』の区別がつかず、『すべてが大切なもの』であると思い込んでしまうのです。
その結果、エネルギーは無数の方向に分散し、結果までたどり着く事が出来なくなるのです。
成長のパラドックスに陥るまで
- 目標を明確にし、成功へと一直線に進む
- 成功した結果、『信頼』を勝ち取り、様々な仕事が舞い込むようになる
- やる事が増えすぎて、ひとつひとつの精度が落ちていく
- 『本当に大切なもの』に割く時間を失い、また見失う
成功した人は、何でもやろうとしすぎて(またその能力もあるため)、そもそも何をやっていたのか、何をすべきだったのか見失ってします。
確かに、他の人より短い時間で、より魅力的なプレゼン資料を作る事が出来るでしょう。人に任せるより、自らやった方が早く終わらせる事もできるでしょう。
しかし、仕事をする上で『自分がすべき仕事なのか?』という事は、常に自問自答しておかなければなりません。ただひとつ注意していただきたいのは、人付きを蔑ろにしろ、1人狼でいろという意味では決してありません。それぞれが与えられた役割の度を越して、色々なもの(他の人がすべき仕事)にまで手を出していないのか?という事です。
成功した企業がいかにして衰退したのか。それは「規律なき拡大路線」に陥ったためだ。(ジム・コリンズ)
方向性を見失う原因
成功してる人、企業が方向性を見失い、『成長のパラドックス』に陥るのはなぜでしょうか。そこにはいくつかの理由があります。
- 選択肢が多すぎる
- 周りの意見がうるさすぎる
- 欲張りの時代である
大雑把ですが、簡単にいうと上記の3つが主な原因でしょう。
情報爆発による決断疲れ
インターネットの普及によって、情報が溢れ返り、技術の進歩によって物理的な距離も近づきました。その結果私たちの選択肢は急激に増え『本当に大切なもの』が見えにくくなってしまいました。
選択の機会が増えすぎ、正しい決断ができない『決断疲れ』と呼ばれる状態になる事で、何が大事で何がそうでないかを見分ける事が出来なっくなってしまうのです。
繋がり過剰と情報過多
インターネットとSNSの普及によって、情報が溢れかえると同様に、周りの人の意見が流れ込むようになりました。ここでの問題は周りからのプレッシャーが大き過ぎることでしょう。
自分自身の評価だけでなく、周りの評価にも応えようとする事で、『本当に大切なもの』を見失うのです。
『すべてを手に入れる』という風潮
入社試験では、たくさんの課外活動をした学生がより高い評価を受け、求人広告では「即戦力」として何でもできる人材が求められています。
またテレビCMや雑誌の広告でも、あらゆるモノを手に入よう!と欲求を刺激し、私たちは気付かぬうちに『欲張り』になっているのです。
増えすぎた最優先事項
ほとんどの日本人サラリーマンは、『最優先事項』を決める会議で、その『最優先事項』がいくつも並んでいるのを目にした事があるはずです。
文字通りであれば、ほかの何を差し置いても1番にやるべきですが、その1番がいくつも並んでいる状況です。これはなにも優先していないのと同じであり、『本当に大切なもの』を見失っている状況が顕著に現れています。
会社に限らず、個人的なタスクにおいても、『全てやろう』という思考に囚われていると、『本当に大切なもの』を見失ってしまうのです。
自らの時間とエネルギーをどこに注ぐか決めないでいると、上司、同僚、家族らが、私たちのやる事を決めてしまいます。その状況が長く続けば、決断する事に対して思考停止に陥り、『本当に大切なもの』を見失い、他人の言いなりになっていくのです。
「他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気が欲しかった(ブロニー・ウェアの記録)」
自分に正直に生きるというのは、単にわがままになることではありません。不要なことを的確に見定め、排除していくことをいいます。
そのためには、無意味な雑用を断るだけでなく、魅力的なチャンスを切り捨てることも、時として必要になるでしょう。しかし欲張ってはいけません。
やる事を減らし、人生をシンプルに、『本当に大切なもの』だけに集中する必要があるのです。
ゴルフが上手くなるメンタル術
- 様々なスイング理論をすべて実践してはいけない
- 大切な情報のみに集中する
- 情報を取りに行くことが目標ではないと理解する